愚民の手記

アニメの考察を主に、趣味のことをつらつら書いていきます。

【結局二重スパイとはなんだったのか】プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第一章 考察 【ネタバレあり】

本記事はプリンセス・プリンシパル Crown Handler 第一章の考察記事です。必ず本編視聴後にご覧ください。

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参照

いつも通りいい人から死んでいくプリプリ劇場版の考察、はじまるよ!

本記事では物語の本筋をもう一度確認、考察していきます。私自身劇場には二回しか足を運べていないため、小ネタやセリフの解説などは後に回します。

序論:「本作の目的と疑問点」

さて今回の第一章ですが、事の発端は王国のスパイ狩りが的確であり、特に王室関係のスパイが狙い打ちされていることでした。そこで王室内の共和国スパイに二重スパイがいるかもしれない、というのが冒頭のコントロールでの議論内容であり、この二重スパイを見つけるのが今回の作戦目的だったはずです。予告でもドロシーが「コントロールは王室内のスパイの裏切りを疑っている」と言っていますね。

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ビショップ(予告から)

しかし、疑惑の渦中にいたビショップは「第三国」に対して情報を流していたわけです。王室内の問題はそのまま、もしかして何も解決してない?スパイ狩りは継続?となってしまいます。そこで、この考察記事ではノルマンディー公がどうやって王室内のスパイの情報を得ていたかを軸に、ノルマンディー公がビショップから情報を得ていた説を提唱、考察していきます。

本論:「今作では一体何が起こっていたのか」

まず説①で、物語からそのまま読み取れることの整理と疑問点の洗い出し、説②でそこから考えられる説を紹介し考察していきます。

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https://pripri-anime.jp/

解釈①「ノルマンディー公は何も知らなかった」

物語の概要

本作品の人物関係を図にしてまとめておきます。

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Crown Handler 第一章の相関図
大雑把ではありますが、物語の流れを確認しておきましょう。

  1. 革命騒ぎでスパイ狩りが大規模に
  2. 王室内の共和国スパイがピンポイントで狙われる
  3. ビショップが王国に情報を流している(二重スパイ)という容疑をかけられ、白鳩が連絡役兼調査役に
  4. しかし、ビショップと王国に繋がりはなく、第三国(モスクワ?)に情報を流していた
  5. ノルマンディー公に疑われ、第三国に演説を使って助けを求める
  6. ビショップは第三国の手で始末された

3. の根拠については、冒頭のLのセリフより

「王室内のモグラに連絡を取れ。(躊躇い)二重スパイの可能性を考慮しつつ、情勢を探る」

=連絡を取るモグラは恐らく「ビショップ」、Lはビショップが共和国の情報をノルマンディー公に流してると疑っている

ビショップとLは友人か何かの関係にあったと考えられ、長年の友を疑うのをためらったと考えられます。知己であった根拠は終盤のLと7の会話から

L「プリンシパルのチームにはよくやったと伝えてくれ」

7 「良かったのですか?」

Lが顔を伏せる

Lが葉巻を持ったまま目を閉じるシーンは印象的だったと思いますが、これからビショップの関係を推測できます。淡々としているLはこういうことあまり口にしない気がしますし、7もLとビショップの関係を知っていると思われます。

4. の王国に情報を流していなかった根拠は、ビショップはノル公に疑われていた時、焦っていたことからです。王国と繋がりがあるならこうはなりません。(二重スパイなら、安全は保証される(TVシリーズ第4話case9のドロシーのセリフから))

この解釈で残る疑問点

今回の作戦の目的は王国に情報を流す二重スパイを見つけることで、ビショップは第三国に情報を渡す二重スパイであったことから、今回の件は何も解決していないことがいえます。情報漏洩は続き、的確なスパイ狩りは継続となってしまいます。

加えて、ノルマンディー公が本筋に全く絡んでいないことも気がかりです。この解釈では、意味深なセリフをドヤ顔でしゃべっておきながら、ビショップにちょっかい出して逃げられただけになってしまいます。

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意味深なセリフを語るノル公(予告から)

しかも、事件後はビショップに逃げれれるのがわかっていたかのようなそぶりを見せています。以下はビショップ殺害後のノルマンディー公のセリフです。(記憶が曖昧で少し違うかもしれませんが、大筋はあってるはずです)

「惜しげもなく始末したか。よほど狡猾な連中と見える。相手が私の知っている男ならば、こういう結末にはしなかっただろう。」

TVシリーズ第2話case1で裏切るそぶりを見せたモーガン議員を即決で撃ち、「脳みそと口さえ残っていれば最悪尋問はできる」と言い放ったノルマンディー公には似つかわしくない対応です。

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微笑むノル公(TVシリーズ第2話)

ノルマンディー公ならば、疑いを持った時点で拘束し尋問にかけ、スパイの情報を吐かせるはずです。そこで、このノルマンディー公の不可解な行動を紐解くカギとなるキーワードが"釣り"です。作中ノルマンディー公がガゼルに「釣りは好きかね」と語りかけていますが、今回ノルマンディー公が行った"釣り"とは何だったかを次の項で考察していきます。

解釈②「ノルマンディー公が暗躍していた」

ここでは二つの疑問

  1. 共和国スパイの情報はどうやって流れていたのか
  2. ノルマンディー公は何をしていたのか

について考えていきます。

ビショップは三重スパイをさせられていた

ここでは、ビショップが第三国に流していた情報をノルマンディー公が傍受していた説を提唱していきます。ビショップが共和国の情報を流すのに使っていたのは女王演説ですので、解読さえできれば情報を手に入れられますし、ビショップの自室にあったコードブックがわかれば解読もできます。もちろんコードブックを入手した時期まではわからないので、解読の難易度は白鳩が行ったものよりも高くなりますが、理論上可能です。こうなると、ノルマンディー公は共和国の情報、とりわけ王室内のモグラの情報を手に入れられるだけでなく、第三国の存在までも確認できることになります。

そのためノルマンディー公は裏切りものである侍従長をすぐ拘束したりせず、泳がせて情報を手に入れていたと考えらます。このような背景があったため、侍従長モーガン議員と同じ処遇を受けなかったといえるのではないでしょうか。

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ガゼルとノル公(出典)

これからビショップとアンジェのチェスのシーンで「ほら、敵ばかり見ているから”ビショップ”が危ない。」とビショップについて知っているようなセリフを言っていたのは、知っているが泳がせていることを暗示していたのかと考えられます。加えて王室内の共和国スパイが狙われていたことも説明できますし、盗み取っていただけなのでビショップに感づかれないように一斉検挙ではなく少しずつ狙い撃つ形になっていたことにも納得がいきます。ビショップは望まぬ形とは言え、三重スパイをしていたことになりますね。(三重スパイというとMGSシリーズのオセロットが思い浮かびますが、もしかして第4話case9の"チーム山猫"はここの伏線...!?(そんなわけあるか))

ノルマンディー公が行っていた”釣り”とは

ここで二つ目の疑問点、ノルマンディー公の”釣り”とは何だったのかを考察していきます。この場合狙う”獲物”は共和国と第三国のスパイ、””はビショップの身柄です。共和国と第三国にとって、ビショップは残り二国の情報を得られる貴重な情報源であるためです。そして、ビショップに監視をつけ連絡役を始末することによって圧力をかけ、この二国に対してS.O.Sを出す(尻尾をだす)ことで"餌を撒いて"いたというわけです。実際ビショップは第三国にのみS.O.Sを出しましたが、共和国と第三国はノルマンディー公の思惑通りビショップの確保、つまり餌に食いついたわけです。

第三国と共和国で身柄を争って拘束や尋問をせず、餌としてビショップを割り切っていたとわかります。この判断は、ビショップからは十分な情報をもうすでに得れれているからだといえるかもしれません。それとノルマンディー公がビショップに監視を付けることで圧力をかけていたところですが、ビショップがチーム白鳩の尾行を見破っていた点から監視を付けるだけで圧力になりえたのだと考えられます。

そして二者が身柄を争うことが”潰しあう”ことであり、双方の工作員の妨害や殺害によって動きを抑えればノルマンディー公の望む”王国の安寧”が得られるというわけですね。なんだか核抑止を想起させる構図な気がします。

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ノルマンディー公が行った"釣り"の概要

この仮説が当たっていたとしたら、ノルマンディー公はかなり周到に準備して暗躍していたということになるでしょう。ノルマンディー公がビショップから第三国への情報を傍受出来ていたのなら、船上から魚を眺めつつ釣りをして、魚たちは船の上の人影に気が付いていないという、まさに”釣り”にふさわしいシチュエーションが出来上がっていたといえるのではないでしょうか。

ですが実際のところ、第三国はノルマンディー公の思惑に気が付いてかビショップの”殺害”という手段を取ります。これは、ノルマンディー公の罠にかかるのと共和国にビショップの身柄が奪われることを恐れ、ビショップの尋問というメリットを切った判断だったのでしょう。最後でノルマンディー公がビショップ殺害に対して「狡猾な連中がいるらしい」「私の知っている男ならこうやらない」というのは、ビショップの身柄や持つ情報よりも隠蔽を優先したことを指していると考えられます。

結言

ここまでの考察で導かれた仮説は以下の通りです。

1. ノルマンディー公はビショップから共和国の情報を得ていて、共和国スパイの狙い打ちはこのため
1. ノルマンディー公の釣りとは、ビショップを餌にした共和国と第三国を狙った罠 1. 第三国のビショップ殺害は口封じとともに、ノルマンディー公の罠の破壊が目的

できるだけ細かく考察してきたつもりですが、この考察には穴や欠陥が多くあるかもしれません。その場合はぜひコメント等で指摘していただけると幸いです。この記事をきっけかにプリプリの考察が少しでも盛んになること、そして考察の検証のために皆さんがもう一度映画館に赴いたり円盤を買うきっかけになればと思います。かく言う私もまた見たくなってきました。時間と金が許すならまた映画館に足を運びたいと思います。願わくばいちいち止めてコマ送りで観察したい…。円盤発売が待ち遠しいです。

蛇足

しばしばこの劇場版一章はテレビシリーズ1,2話の対比であるという話を散見しますが、この記事で扱った釣りもテレビシリーズの対比だったりします。

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2話で登場した手記

画像は二話で登場した手記です。直訳は”公爵は今夜狩りに行く”。二話では実際にパーティー会場に赴き自ら鍵の奪取や情報の収集に努めましたが、今回はチェスのシーンのように静観に徹しています。

このように1,2話との対比をまとめた記事や第三国の正体について考察した記事も書いていきたいなと考えています。

ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。良し悪しに関わらず、批評を寄せていただけるとありがたいです。プリンセス・プリンシパルの議論をしたり語らったりしたい…!